スタジオでは今、あの坂本繁二郎の作品の修復を手掛けています。繁二郎は明治に生まれ、
大正期にフランスに留学、印象派に観るような画法を自らの作風に反映させ、確立した作家だ。私、大好きな作家です。当代ではちょっと異色。作品を裏返すと、木枠には数字や文字が書かれている。アップした写真は木枠に書かれた算用数字だ。フランスの数字の書き方、独特の表記で書かれています。こんなちょっとした字を観るだけで、わくわくします。木枠は絵にとってはある意味で命。うちの工房では、室長の方針で、古い木枠を簡単には新調しない。かなり傷んでいても。やたらと 加工もせず。丁寧な補強を施します。木枠にも表の絵と同じく作品、作家とともに歩いてきた物語が深く染み付いているから。(Yoshin)