さて、黒田清輝作「アネモネ」今回は紫外線蛍光写真をみてみましょう。紫外線を照射すると作品の表面から蛍光反応したり、光を吸収したりしてさまざまな反応を観ることができます。概ねの作品の表面情報を言ったところでしょうか。ワニスの状態や、修理痕、また顔料の反応など。ここでは画面の黒くなったところをよく観てみましょう。淡く蛍光反応したワニスの上に加筆が観られます。前回までの画像を思い出してください。裏面にテープなどが貼られ補強されていた箇所に著しい加筆の痕が観えますね。紫外線を吸収し黒っぽく観えています。画面のそこかしこに補細の跡が見られます。背景や、花瓶、花の中やテーブルの上にも。でも、紫外線を当てると、必ず絵の中の古い補彩や修理痕、加筆が観えるとは限りません。また黒く写るからといって加筆とも限らないのです。全体をよく見て判断する必要があります。Yoshin