残暑厳しい日が続きますね。工房ではお休み明けから、今月中に修復を仕上げるべくしてこの数ヶ月間、続けて来た50点余りに登る作品のチェックが毎日のようにおこなわれています。修復している作品は森田元子画伯の作品。昭和の時代に活躍した女性作家。岡田三郎助に支持し、フランスへ留学した後、当時日本にも興り始めたセザンヌ、ブラック、ピカソ等からの流れを汲みながら、多くの日本の作家たちに影響を与えたキュビズムを始めとする画面構成を学び、光風会、現代日本美術展、日展などに出品し続けた作家です。
工房での修復作業では、数十点にわたる作品から当時の作風も概観でき、当時に昭和の作家の試行錯誤、画面の中での戦いが見て取ることができるようですね。この時代、実験そのものが作風として成立していると言っても過言ではなく、よどみなく手早く仕上げた作品には品性、風格があり、モダンな色合いが、実験的な絵画に花を添えているようで、いかにも女性画家ならではの作風。近い将来の森田先生の展覧会を楽しみにしたい。Isamu
