さて、ロンドンの滞在記の続き。ナショナルギャラリーは様々なカテゴリーに分けられた展示室になっている。さまざまなヴェネツィア派の作品が飾られる中、よく見たことのある名作がズラリと並ぶ。じつは初めて見るような作品もありでちょっと興奮気味。丁寧な修復のおかげで作品の下層までよく見ることができる。褐色の地塗りをじっくり観てきたが、やはりこの頃の作品は予備的な地塗り層の効果が遺憾なく発揮されている。この頃の作品は地塗りの効果を味わうのも鑑賞のポイント。ティティアーノ、描かずに塗り残された有色地塗りは、噂に違わず下層からその輝きを放っていた。